e -フィーリング

こころを揺らす回想法

「e -フィーリング」とは

「e -フィーリング」回想法とは、経験豊かに人生を営まれてきた高齢者が、昔の大切な出来事に伴う豊かな感情や感覚を想起し、仲間と語り合うことで脳の活性化 を目指したプログラムです。心地良い想い出や出来事を想起し会話するという行為は、言語機能だけを使っている訳ではありません。筋道を立てて順番を考える こと、相手に伝わるように内容を組み立てること、また相手の表情や周りの雰囲気を感じとることも同時に行っています。認知症予防につながる「エピソード記 憶」「注意分割機能」「計画力」などを集中的に使い、楽しい会話や心地良い時間と空間を共有できるように働きかけますe -エクササイズ® は、今回は回想から、歌・身体活動へと発展させる具体例も紹介します。

「感覚の入力」から「感覚の統合」を目指す支援

「フィーリング」とは感じること「感覚」です。
一般に言われる五感とは、「①触覚②視覚③聴覚④嗅覚⑤味覚」です。五感は大きく分けてA特殊感覚、B体性感覚の2種類に分類されます。五感の中でも、触 覚は五感を意味する特殊感覚の分類ではなく体性感覚です。触覚に代表されるB体性感覚には擦ったり圧したりする感覚や、冷たさや温かさ等を感じる皮膚感覚 器と、体中の骨格筋に分布し筋肉の長さや張力を正確に感知し脳に伝える筋肉のセンサーの役目をする運動感覚器があります。
e-フィーリングでは、掌から感情を伝える受容的な支援を通じて、A特殊感覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚)とB体性感覚(皮膚の感覚や運動の感覚) を意識的に刺激し、体と感情から脳に心地良い働きがけを促すようにプログラムします。認知症の中核症状や周辺症状を意識した感覚入力から、感覚統合と脳の 活性化を目指します。

感覚の分類

二つの感覚「A 特殊感覚・B 体性感覚」は末梢神経から脳への伝達経路が違います。

これらの感覚が全ての運動活動に関係しています。触覚は単に皮膚の接触感覚にとどまらない脊髄神経連絡の体性感覚なので、同じく脊髄神経連絡の運動 感覚器(筋紡錘・ゴルジ腱器官等)と密接に結びついて大脳に働き、他の感覚器からの情報と相まって脳の広い領域が働くと考えられています。私たちの身体活 動や運動にとって重要な感覚器だと言えるでしょう。e -エクササイズ® では、「e -ダイナミックROM」パートと「e -ビクス」パートで運動感覚器に事前刺激を入力していることから、相乗効果で体と心の覚醒が期待でき、e-フィーリングパートでより反応を引き出しやすい と思われます。

見当識障害」を意識した回想プログラム

〈野菜づくりや体が覚えている作業からの回想〉

記憶の中で比較的長い間保っていることができるのが長期記憶です。特に高齢者が、かつて体を使って習得した技術や生き生きと仕事をしていた頃の生活にともなう出来事は記憶と密接に結びついています。今ほど物資が豊かでない頃、生きる
ために土を耕し野菜づくりを経験された人は多いと思います。当時のことを回想していただくと収穫の喜びや農作業の大変さ、とれたての野菜のおいしさや調理 方法に保存方法、たくさんの話題が飛び交うでしょう。さらに鍬を直に握ってもらったり、白菜や大根を抱えてもらったり、その重さを体で感じることを通し て、畑を耕したときの身体感覚を快の記憶として語ってもらいましょう。

●土の臭いや野菜の触感を楽しむ
五感を刺激し感覚を入力する
触覚:野菜を触った皮膚感触、泥の感触、鍬を握る、鍬を実際に使う感覚、野菜の重さや重量
視覚:土がついた野菜「サツマイモ、白菜、大根、里芋、にんじん、ゴボウ」
嗅覚:土の臭いやそれぞれの野菜の香り
味覚:できればおやつや昼食で味わう
聴覚:野菜を刻む音や切る音を聞く

発展1 ・・・感覚を想起し感情と一緒に動きにつなげる(ジェスチャーや声だし)

野菜のずっしりとした重量をしっかり感じた後に、大根やサツマイモを引き抜く瞬間やその時の感情を存分に語ってもらう。大根の葉をギュッと握った手の感 覚・土から引き抜く瞬間の抵抗感や重さ、またサツマイモやじゃがいもを気持ち良く引き抜いた瞬間の感覚を収穫の喜びとともに思い出し参加者間で共有する。
畑から引き抜くジェスチャーを体感と共にみんなで楽しむ。「ヨイショ!!」と声と心を合わせ、動きと一緒に集団の一体化も図る。

発展2 ・・・エンドウ豆

エンドウ豆をザルに入れ、筋取りを楽しむ。塩ゆでにしたり、ばら寿司の上に散らしたりとえんどう豆を使った料理や料理にまつわる話題まで発展することもある。

発展3 ・・・ツワの皮を剥く

指先を使ったツワの皮のむき方や、手が黒くなりなかなか洗っても落ちなかった記憶の回想、春先
に山にツワを採りに入った思い出なども聞くことができるかもしれない。香りも一緒に楽しめる。

「短期記憶障害」を意識した回想プログラム

幼い頃、両親や祖父母から口伝えで語り聞いた童話や民話は高齢者のみなさんには心地良い記憶として印象に残っています。桃太郎の童話を聞いた後に、 あらすじを想起し、登場人物の順番を参加者同士で楽しみながら確認しましょう。続けて声を合わせて歌い、自然なリズムから身体活動につなげることで、多様 な感覚刺激が脳の活性化を図ります。

<1>「 桃太郎」の童話を聞く

まずは「桃太郎」の絵本を聞いて頂く。
なじみのある懐かしいあらすじに熱心に耳を傾けて下さる。周りの音、支援者の声が心地良く届く空間等、童話に集中できる配慮も整える。

<2>桃太郎の童話を聞いて感想を自由に話す

お話に出てきた「洗濯」や「芝刈り」の言葉で炊事や家電の話題に発展したり、小学校の教科書に紹介されていた桃太郎の記憶から幼少時代の会話に花が 咲いたりする。その時々の参加者や集団の個性を大事に自然な流れを大切にする。会話を楽しみ語り合うことで情緒の安定も図れる。思い出された楽しい記憶を じっくり聞くことが大切。

<3>あらすじを楽しみながら想起する

登場人物を順番に思い出しながら記憶をたどる。
1おじいさん 2おばあさん 3ももたろう 4いぬ 5さる 6きじ 7おに
会話しながら、楽しみながらの雰囲気づくりをする。登場人物のカードを無造作に並べ、選びながら順番の確認をしていく。
「言葉のみのカード」「登場人物の絵柄も書いてあるカード」「言葉と絵のカード」と記憶をサポートできる材料を準備し、対象者のレベルや状態に合わせた配慮のもと、記憶を想起させる。

<4>「 桃太郎の歌」を、声を合わせて歌う

<5>リズムに合わせて身体活動へ

小集団で円になる(両隣で握手が出来る間隔)
「桃太郎さぁ~ん」の1フレーズで  ももたたき2 回両隣の方と手のひら2 回タッチ >繰り返し
「桃太郎さん」        ※繰り返し
「おこしにつけたきび団子」  足踏み
「一つ」           自分の  太ももタッチ
「私に」           右の方の 太ももタッチ
「下さい」          自分の  太ももタッチ
「な」            左の方の 太ももタッチ
※「やりましょう」からフレーズとリズムに合わせて上記をくり返す

発展1 ・・・桃太郎パネルシアター

登場人物(1~7)や小物(たらい・もも・金棒等)を大きく紙に描き出し、裏にマグネットをつける。桃太郎のあらすじを思い出しながらホワイトボードに順番に張り出す。あらすじを想起しながらみんなで桃太郎のお話を作り上げる過程を楽しむ。

発展2 ・・・なじみの童話で実施

「花咲じいさん」・「笠地蔵」・「かちかち山」など、なじみの童話であらすじを楽しむこともできる。参加者からリクエストを受け実施するのも良い。 活動への意欲にもつながる。学芸会での役の話に発展したり、小学校時代などの楽しい回想につながったりすることもある。隣の人と掌手を2 回合わせる。

参考文献

松浦亜紀子の座ったままできる運動療法
メディカルフィットネス e-エクササイズ
株式会社 e-エクササイズ事務局
〒851-0405 長崎市為石町3629
TEL 080-1775-2823
【受付時間】10:00~17:00(土日祝日除く)

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